- なぜ最小の国が最大の市場を上回ったのか?
- 表示回数とクリック率は、測っているものが違うからです。最大市場は市場調査っぽい検索フレーズで表示が多かっただけで、実際にクリックした人はごく少数でした。最小の国は表示回数こそずっと少なかったものの、クリックに変わる割合が高く、同じ3か月で約26倍の差がつきました。
- 小さな市場はいつも過小評価されているということ?
- いいえ。言いたいのは、表示回数だけでは判断できないということです。国別のクリック率を見ないまま、表示回数の大小だけで市場を切り捨ててしまいかねない、という話です。
TL;DR
同じ3か月のSearch Consoleで、最大市場だったアメリカは表示534・クリック1件、クリック率0.2%。同じ表の中でも小さい行の一つだった日本は、表示116・クリック6件、クリック率5.2%——約26倍。この数週間、国別テーブルを既定の並び順、つまり表示回数が多い順のまま見ていて、そのせいでアメリカが上・日本が下という順位を疑わずにいた。クリック率で並べ替えたら、その順位は完全に逆転した。あの6件のクリックが実際にリードになったかどうかは分からない——そこまでの粒度で計測していないので、勝利宣言をするつもりはない。分かったのは、見ていた列がそもそも間違っていたということ。日本向けに動いているチームの多くが、同じ間違った列を見ているのではないかと思う。
この記事の要点
- 表示回数とクリック率は別のものを測る。表示回数だけで並べると「よく見られる国」と「興味を持たれている国」を取り違える。
- 小さな国のクリック率が、最大市場を大きく上回ることがある。自社の場合は約26倍だった。
- 検索クエリの語感がヒントになる。アメリカ側の上位クエリは市場調査っぽく、購買意図の言葉ではなかった。
- 少数サンプルの高いクリック率は、売上の証明ではない。それでも、的外れな訪問者が多いだけの大きな数字より、強い一次シグナルではある。
- 直すのに費用はかからない。市場を切り捨てる前に、自社のSearch Console国別テーブルをクリック率で並べ替える。
もう少しで開かなかった行
Search Consoleを開いたのは、別件——あるページのcanonical修正が実際に反映されたかの確認——のためだった。その下に、国別テーブルがいつもの並びのまま出ていた。表示回数が多い順。アメリカがいつものように一番上。日本は同じ表の下のほう、イギリスやカナダより数段下の、小さな行の一つだった。
スクロールしなくてもいいはずだった。探していたのは別のことで、この行を見る理由はなかった。
同じ表、二つの国、まったく違う話
それでも習慣でスクロールし、表示回数ではなく、その隣のクリック率の列にたまたま目をやった。
アメリカ:表示534・クリック1件。クリック率0.2%。
日本:表示116・クリック6件。クリック率5.2%。
同じ3か月。同じドメイン。載せているコンテンツもほぼ同じで、どちらも英語読者向けに書いたものが中心だ。ずっと見ていた表示回数では、アメリカが4倍以上の差をつけている。ところが、実際に何かが起きたかを示す数字で比べると、日本が約26倍上回る。
大きい数字のほうが、弱いシグナルだった理由
表示回数自体は作り物ではなく、その裏にあるアクセスも本物だ。ただ、アメリカの表示がどんな検索に紐づいていたかを見ると、上位クエリは市場調査っぽい言い回しだった——「saas japan localization」「japan ai in fintech market」のような、市場を調べている最中の人、レポートを書いている最中の人が打ちそうな言葉。見ている人はたくさんいて、クリックして次に進む人はほとんどいない。
Search Consoleは国別とクエリのクロス集計までは出してくれないので、日本の6人が具体的に何を検索したかは断定しない。分かるのは行動のほうだ。どんな人たちだったにせよ、その6人は、人数でははるかに多いアメリカの閲覧者よりも高い確率で、「見る」から「クリックする」までたどり着いていた。
まだ分からないこと、そして誇張しない理由
6件というクリック数は小さい。ここから言えることと言えないことは、正直に分けておきたい。この6件が実際にリードになったという証明にはならない。リード獲得のイベントを国別にタグ付けしていないので、サインアップや商談まできれいに追えないからだ。伏せている成果があるわけではない。自社の計測に本当に穴があるということだ。
それでも、向きを示す材料としては意味があり、動く理由にもなる。注目をクリックに変える割合で小さな市場がはっきり上回っているなら、表示回数ばかり多くて何も起きない大きな市場より良いシグナルだ。証明ではない。もう少し詳しく見る理由になる、というだけのことだ。
一行にすると:「どの国がいちばん出てくるか」ではなく、「どの国がクリックまで完走するか」を聞く。
変えた習慣
これからは、ある国を「小さすぎて構う必要がない」と切り捨てる前に、まずクリック率で並べ替え、表示回数はその次に見る。既定の表示に任せていると、知らないうちに逆の順番が癖になる。並べ替えは2秒で済む。それだけで、表の中で唯一ちゃんと働いていた行を見落とさずに済んだはずだ。
あなたのSearch Consoleへの、静かな問い
どの国からの表示回数が多いかは、たぶんもう分かっているはずだ。たいていのチームは、そこまでは答えられる。
では、たいていのチームがまだ自分に向けていない問いを一つ。自社の国別テーブルを、表示回数ではなくクリック率で並べ替えたら、上位に来るのはどこですか? まだ確かめていなくても、失敗ではない。見ていない列が一つ残っている、というだけのことだ。日本のデータが実際に何を示しているのかを一緒に確かめたいときは、Japan Readiness Checkがまさにそのためのサービスです。
よくある質問
表示回数とクリック率は何が違い、なぜ後者のほうが大事なのですか?
表示回数は検索結果にページが表示された回数です。クリック率(CTR)は、その表示のうち実際にクリックされた割合です。表示回数だけで見ると、単に検索結果によく出る国がトップに来ます。表示回数がずっと少ない国のほうが、はるかに高い割合でクリックされていることもあります。表示回数だけで並べ替えると、「よく見られている国」と「実際に興味を持たれている国」を取り違えます。
表示回数が少ない国は無視してよいですか?
一概にそうとは言えません。表示回数が少なくてもクリック率が高ければ、そこで見ている少数の人は行動につながりやすい層かもしれません。表示回数は多いのにほとんどクリックされない大きな国とは、数字の意味がまったく違います。両方を見てから優先度を決めるべきです。
小さな国のクリック率が高ければ、その市場は強いということですか?
いいえ。数件のクリックはサンプルとして小さく、実際のリードや売上につながったことの証明にはなりません。分かるのは、得られた注目が最大市場よりも明らかに高い割合で行動に変わったということだけです。もっと詳しく見る理由にはなりますが、勝利宣言の根拠にはなりません。
なぜはるかに小さい市場が、最大市場よりクリック率で上回ることがあるのですか?
よくある理由の一つは、検索意図の違いです。大きな市場では、市場調査のための検索で表示だけは多く稼げても、実際にクリックして動く人はほとんどいない、ということが起こります。一方、小さな市場は届いている人数こそ少なくても、その人たちが意思決定にずっと近い段階にいれば、クリック率は高くなります。
自社のサイトでこれを確認する、いちばん安い最初の一歩は何ですか?
Google Search Consoleを開き、パフォーマンス > 国別のテーブルを見ます。通常は表示回数の多い順で開きます。それをクリック率の順に並べ替え、上位に来る国が変わるかを見てください。費用はかからず、5分もかかりません。