- 自社の価格ページで見つかった3つの罠とは?
- 価格ページ・サービスページ・サブスクリプションページに載っているすべての価格が米ドル表記のみで、円建ての金額がどこにも無い。どの価格にも税込・税抜のラベルが付いていない。そして、日本の買い手のために何かを判断した形跡が一切なく、同じドルの数字が誰にでも同じように見えるだけになっている。
- もう直しましたか?
- まだです。この記事を公開している時点でも、その穴はそのまま残っています。直す前に書いたのは、点検そのものに価値があると考えたからです。「もう直した」と言いたいわけではありません。
TL;DR
私たちは、海外SaaSの価格ページが日本の買い手の信頼を落とす罠——ドル据え置き・税込表記なし・日本向けの判断が見えないこと——を解説する記事を公開している。その裏取りの途中で自社の価格ページを開いてみると、3つとも見つかった。すべての価格がドルのみで、円建ての金額が無い。どの価格にも税込・税抜のラベルが無い。そして日本の買い手のために何かを決めた形跡が無い。直す前にこの点検結果を公開するのはわざとだ。3つの罠のチェックリストそのものに価値があると考えている。「自分の家はもう片付いている」と言いたいわけではない。
この記事の要点
- 罠1——ドル据え置き。円建ての金額がどこにも無いと、買い手は自分で為替換算をする羽目になる。その一手間だけで、「このページは自分向けではない」と感じさせてしまう。
- 罠2——税込表示なし。税込・税抜のラベルが無い価格は、日本の買い手にとって「これが最終的な金額なのか」が分からない状態のままになる。
- 罠3——判断した形跡が無い。換算しただけの数字とローカライズされた数字は、見た目がほとんど同じになり得る。違うのは「あなたのことを考えた」というメッセージがあるかどうかだけ。今のところ、自社にはそれが無い。
- 記事を書いていても、同じ間違いは防げなかった。チェックリストを知っていることと、それを自分のページに当ててみることは別の話だ。
- 直さずに公開している。点検結果は今すぐ共有する価値があり、修正はそのあとで、公開の場で進める。
何も見つからないはずだった点検
自社の価格ページローカライズについての記事を、公開前にもう一度見直していた。事例が今でも成り立っているかを確かめる作業だ。その途中、形式的な確認のつもりで自社の実際の価格ページを開いた。自分たちがもう直した問題を、他社の問題として書いていないか確かめるためだった。
直していなかった。それ以前に、確認したことすら無かった。
3つの罠、すべてそろって
罠1:ドル据え置き。価格ページ、サービスページ、サブスクリプションページに載っているすべての金額がドル表記だ——$250、$450、月額$490、$1,490、最大パッケージの$8,990まで。そのどれにも、円建ての金額が——単純な換算値すら——付いていない。日本の買い手はページを読み進める前に、まず自分で為替換算をしなければならない。
罠2:税込表示なし。それらの価格のどれにも「税込」「税抜」の表記が無い。日本の買い手にとって、これは注釈程度の話ではない。「実際に払う金額を知っている」状態と「聞かなければ分からない」状態の差だ。私たちは、聞かなければ分からない状態のまま放置している。
罠3:判断した形跡が無い。これがいちばん痛かった。内側からは見えにくいからだ。その日の為替レートで換算しただけのページと、意図的に円の価格を決めたページは、数字とドル記号だけ見ればほとんど同じに見えることがある。でも片方は買い手に「あなたのことを考えた」と伝え、もう片方は伝えない。私たちのページは、後者のままだ。
チェックリストを知っていることと、当てることは別
私たちは、まさにこのパターンを名指しする記事を書き、他社に向けて公にこう伝えている。日本の買い手が機能を一つも読まないうちに信頼をなくすのは、これが原因だと。それでも、書いたからといって自分たちが同じことをせずに済んだわけではなかった。チェックリストは記事の中にあっただけで、自分のページに当てる習慣にはなっていなかったからだ。
ここは正直に言っておきたい部分だ。これは「知らなかった」という話ではない。「知っていたのに、自分のページにチェックリストを当てたことが一度も無かった」という話だ。
一行にすると:公開したチェックリストは、自分のページに当てるまでは、まだ運用したチェックリストではない。
この記事を、直す前に公開する理由
きれいに見せるより、正直に見せるほうが役に立つ。先に価格ページを直してから「もう直しました」という体で公開したら、本当に過ちを直したのか、最初から間違っていなかったのか、読み手には見分けがつかない。直さずに公開すれば、この点検結果を誰でも確かめられる。それに、いつかやる作業として後回しにできず、人目のある場所で実際に直すしかなくなる。
あなたの価格ページへの、静かな問い
自社の価格ページが日本語に訳されているかどうかは、たぶんもう分かっているはずだ。たいていのチームはそこまでは答えられる。
ただ、次の問いまで確かめているチームは多くない。ページのどこかに円建ての金額はあるか。その金額に税込・税抜のラベルは付いているか。そして、ドルの数字がそのまま透けて見えているだけでなく、日本の買い手のために何かを判断した形跡はあるか。答えられなくても失敗ではない。まだやっていない点検が残っているだけだ。別の目で見てほしいときのために、Japan Readiness Checkがあります。
よくある質問
ドルのみの価格ページは、日本のB2Bバイヤーにとって本当に問題ですか?
日本の消費者向け表示のような法的な問題ではありませんが、信頼の問題です。円建ての金額がどこにも無く、自分で為替換算をしなければならない買い手は、機能を一つも読まないうちに「このページは自分向けに作られていない」と小さな違和感を覚えます。
日本では税込価格の表示が法律で義務化されているのですか?
総額表示義務(2021年4月施行)は、主に一般消費者向けの価格表示に税込表示を求めるものです。B2B向けの価格はそこまで厳しく扱われず、事業者向けなら税抜表示も広く受け入れられています。ただ、厳密には義務でなくても、税込・税抜のどちらの表示も無いと、意図してそうしたのではなく作りかけのページに見えます。判断の前に、必ず国税庁の最新の公式情報で確認してください。
価格を「換算する」ことと「ローカライズする」ことは何が違うのですか?
換算は、その時点の為替レートで計算した値をそのまま表示することです。レートが動けば数字も動きます。ローカライズは、円建ての価格をいくらにするかを誰かが意図して決め、税込か税抜かを明記し、日本の買い手からどう見えるかまで具体的に判断することです。計算ではなく、決定です。
自社の価格ページをどう確認すればよいですか?
日本の買い手の目で見て、3点を確認します。①ページのどこかに円建ての金額があるか。②すべての価格に税込または税抜のラベルが付いているか。③日本向けに何かを決めた形跡があるか——ドルの数字がそのまま透けて見えるだけではないか。3点のどれも無ければ、そのページはまだローカライズされていません。ドルのページを翻訳で包んだだけです。
この記事を公開する前に、自社の価格ページは直したのですか?
直していません。この記事を公開した時点でも、自社の価格ページは円建ての金額も税込表示も無いままです。直す前に、この点検結果をそのまま公開しています。点検そのものに価値があると考えているからで、「もう直しました」と言いたいわけではありません。