- 「ローカライズされている」のに「使えない」とはどういうことですか?
- 製品を説明し、売り込むためのページは翻訳されているのに、その先にある登録・決済・アカウント設定といった製品画面はまったく確認されていない、という状態です。訪問者は最後まで流暢な日本語を読み進め、まさにコンバージョンする瞬間に、英語だけの画面にぶつかることがあります。
- こうした抜け漏れは、どうすれば見つけられますか?
- マーケティングページをもう一度レビューしても見つかりません。唯一確実な方法は、自分自身がユーザーとして、対応していると謳っている言語で、登録・決済・申込みのフローを画面ごとに最後まで歩いてみることです。周りのページができているからフローもできているはず、と仮定しないことです。
TL;DR
私たちが運営するプラットフォームのマーケティング面——サイト・ブログ・LP——を丸ごと日本語にして、これで終わったと思っていた。そうではなかった。9言語対応を謳うプラットフォームなのに、訪問者が実際に顧客になる一画面、つまり登録画面が英語のままだった。気づいたのは偶然で、提携先のダッシュボードを見ていたときだ——クリックは順調、登録はゼロ。私たちのローカライズチェックリストには、その画面がそもそも入っていなかった。説得するためのページは押さえていても、説得されたあとに行動する画面までは見ていなかったのだ。直したのは翻訳の質ではない。対応を謳う言語で、自分がユーザーになって自分たちの導線を歩いてみたことだった。
この記事の要点
- 「見た目がローカライズされている」ことと「使える」ことは別の話。マーケティングサイトは完全に翻訳されていても、製品の実際のコンバージョン画面はそうなっていないことがある。
- 「多言語対応」という謳い文句が、一画面だけの抜け漏れを覆い隠すことがある。9言語対応を謳うプラットフォームでも、いちばん重要な画面だけが抜けていることがある。
- その抜け漏れはコンテンツレビューには出てこない。数字として出てくる——提携先経由のクリックは入るのに、コンバージョンはゼロという形で。
- ローカライズのチェックリストは、説得するためのページで止まりがち。説得が行動に変わる画面まではなかなか届かない。
- 唯一確実なチェックは、自分自身がユーザーとして画面ごとに歩くこと。周囲のページができているからと言って、フローもできているとは仮定しない。
ゼロであるはずのない数字
提携先のダッシュボードを見ていた。半分は、いい数字を眺めて気分よくなりたかっただけだ。ある提携先のクリック数は好調で、紹介トラフィックも安定して入っていた。そこでコンバージョン欄に目を移した。
ゼロ。少ないのではない。ゼロだ。
一瞬、その数字を疑った——ゼロというのは最初は信じにくい数字だから。もう一度見た。やはりゼロだった。すでに「ローカライズ済み」と自分たちに言い聞かせていた市場での話だ。
すでに「終わった」と思っていた
今年に入ってから、プラットフォームのマーケティング面——サイト、ブログ、LP——の日本語化に本腰を入れていた。もう終わったプロジェクト、チェックを付け終えた項目、という感覚だった。この抜け漏れがこれほど長く見えなかったのは、まさにその自信のせいだ。プロジェクトが「終わった」と感じた瞬間から、進行中だった頃と同じ目では見なくなる。
9言語対応。抜けていたのは一画面だけ
ダッシュボードの数字を見て、導線そのものに戻った。そして、これまで実際にはやっていなかったことに気づいた——自分自身がユーザーとして、日本語で、登録フローを最後まで通してクリックしたことが一度もなかったのだ。LPは確認した。そこへ送る記事も確認した。最後の画面だけは、確認していなかった。
英語だった。実際に顧客になる、その一画面だけが、9言語対応を謳うプラットフォームの中で英語のまま残っていた。日本語化が後回しになっていたのではない。そもそも一度も追加されていなかった。その画面が、誰のローカライズチェックリストにも入っていなかったからだ。
問題は翻訳ではなく、チェックリストだった
私たちのチェックリストは、製品を説明するページと、説得するためのページはカバーしていた。しかし、説得が行動に変わる画面はカバーしていなかった。「ローカライズ」は、実務上いつのまにか「記事とLP」を意味するようになっていて、その先の画面は誰か他の人の仕事だろう、もうできているだろう、わざわざ項目に立てるほどでもないだろう、と思い込んでいた。どれも違った。ウェビナーやイベントの登録フォームも、同じ死角に入りやすいページだ。
あのゼロが示していたことは、調査の数字とも一致する。CSA Researchの2020年調査(29カ国、n=8,709)では、消費者の76%が母国語での製品情報を望み、40%は自国語以外だけのサイトからは購入しないと答えている(出典)。この数字を見るまでもなく、そうだろうとは分かっていた。必要だったのは、自分たちが信じていることと食い違う運用をしてきた、と認めることだった。
見た目が日本語になっていることと、日本語で使えることは、同じではない
訪問者は記事を読み、LPを信頼し、本気で申し込むつもりでクリックしてくる。それでも、導線全体のゴールであるはずの一歩手前で、壁にぶつかることがある。このズレはコンテンツレビューでは見えない。提携先のダッシュボードに、きっかりゼロという数字になって表れる。
だから、本当に聞くべきは「ローカライズしましたか」ではない。もっと絞った問いだ。周りのマーケティングページではなく、登録・決済・申込みのフローそのものを、対応を謳っている言語で、自分がユーザーになって最後まで歩いたことがあるか。ざっと眺めるのではなく、画面ごとに最後まで歩いたか。
一行にすると:コンテンツが翻訳されているかの確認は、これまでどおり続ければいい。そこへ、フローそのものが「歩けるか」を確かめる工程を一つ足す。担当は、実際のユーザーとして歩く人に任せる。
直したこと、そして持ち続けている問い
私たちは直した。登録画面は2026年7月24日に日本語で公開された。それでも、直せた満足感は残らなかった。残ったのは、こちらが終わったと思い込んでいたあいだずっと、チェック済みの場所のすぐ先に、あの一画面が手つかずのまま置かれていた、という事実のほうだった。
あなた自身の導線への、静かな問い
あなたはたぶん、自分たちのマーケティングページが日本語化されているかどうかは把握しているはずだ。たいていのチームはそれに答えられる。
では、たいていのチームがまだ自分に向けていない問いを一つ。登録・決済・申込みのフローを、対応を謳っている言語で、自分がユーザーになって画面ごとに最後まで歩いたのは、いつが最後ですか? 答えが「よくわからない」でも、失敗ではない。まだ回していないチェックが一つ残っている、というだけのことだ。どこから手を付けるか決めたいときは、日本参入のReadiness Checkがまさにそのためのサービスです。
よくある質問
すでにサイト全体を翻訳しています——それでも問題になり得ますか?
翻訳が、説明と説得のためのページで止まっているなら、問題になり得ます。登録・決済・アカウント設定・アプリ内オンボーディングといったその先の画面は、コンテンツ中心のローカライズでは対象から漏れがちです。ところが、訪問者が顧客になるには、まさにこれらの画面を通らなければなりません。
大掛かりな監査をせずに、これを確認する方法はありますか?
自分自身でフローを歩くことです。対応していると謳っている言語にインターフェースを切り替え、新規ユーザーになったつもりで登録・決済・申込みのフローを開き、画面ごとに最後まで進んでみてください。数分あれば済み、特別なツールも要りません。
9言語対応を謳うプラットフォームなら、もうカバーされているのでは?
必ずしもそうとは限りません。言語対応は、全体を一括で切り替えるスイッチではなく、ページや画面ごとに実装されることが多いからです。プラットフォームの大部分は本当に9言語に対応していても、特にマーケティングサイトの翻訳範囲から外れた画面が一つだけ抜けている、ということは起こり得ます。
これは誤訳とは違うのですか?
違います。誤訳は、対象言語ですでに存在しているページの品質の問題です。今回はカバレッジの問題です。その画面はそもそも翻訳の対象に入っておらず、誰のチェックリストにも載っていませんでした。
いちばん安い第一歩は何ですか?
テストは一つだけです。自分たちが謳っている言語で、最初のクリックから確認画面まで、自分自身の登録または決済フローを完了させてみてください。自分自身でスムーズに通せないなら、その市場の訪問者にも通せません。