- 日本の会社の年末年始休みはいつですか
- 行政機関は「行政機関の休日に関する法律」により12月29日から1月3日までが休日です。民間企業も同じような期間を休みにするところが多いものの、日付は会社によって違います。実際に仕事が鈍るのは、休みの前後を含めたもう少し長い期間です。
- 12月に「もうすぐ」と言われた商談が、なぜ1月下旬までずれるのですか
- 購入は複数の承認者を回る稟議で決まるためです。12月後半に起案された稟議は、休みに入る前に全員の決裁がそろわないことが多く、年明けもすぐには動き出しません。
TL;DR
行政機関は12月29日から1月3日まで休み、民間企業の多くも同じような期間を休みにし、年明けの数日は決裁より挨拶に使われます。稟議には複数の決裁が要るので、12月中旬を過ぎて起案されたものはたいてい1月中旬まで止まります。そのころ3月決算の顧客は期末の四半期に入っており、案件は「今期の残予算」で払うか「来期予算」に回すかの分かれ道に立ちます。書類は11月中に固め、休業のお知らせは日本語で出し、年明けの連絡は休みに入る前に段取りしておきましょう。
Key Takeaways
- 休みは短い。止まる期間は長い。休業は6日ほどでも、決裁は12月後半から細り、動き出すのは1月の第1週を過ぎてから。
- 稟議は全員の判がそろって初めて通る。承認者が1人休めばそこで止まる。新しい稟議を年内に通すなら、12月上旬が現実的な締め切り。
- 1月は「再開」ではなく「分岐」。3月決算の顧客では、止まった案件は今期の残予算で払うか、来期予算に回すかのどちらかになる。
- 書類は11月に固める。見積の有効期限、各書類の日付、契約開始日、請求書の記載事項、担当者が稟議に添付する日本語資料。
- 年明け最初のメールは挨拶。先方の仕事始めの週に短く送り、本題は翌週に。
12月15日に「あと一歩」だった商談
名前を出さなくても説明できるくらい、よくある話です。海外のSaaS企業が、日本の見込み顧客との検証を終えた。担当者は製品を気に入っていて、見積もおおむね了承済み。12月の第2週に「いま上長に上げています」と連絡があり、ベンダー側の売上予測ではこの案件が今月の受注に入っている。
ところが、そこから何も動かない。ベンダー側はクリスマス休暇に入るが、日本ではクリスマスの週は普通に仕事の週です。ベンダーが1月2日に仕事に戻ると、今度は顧客の会社が休み。先方が仕事始めを迎えても、担当者の最初の数日は年始の挨拶と社内の行事で埋まる。決裁が下りるのは20日ごろ。あるいは「期末の四半期に入ったので、4月からの新年度予算で対応します」という連絡が来ます。
誰も断ってはいません。止まったのは、ベンダーが顧客の使っていない暦で計画を立てていたからです。
何が、いつ休むのか
役所の休みは法律で決まっています。「行政機関の休日に関する法律」は、行政機関が原則として執務を行わない日として、土日、国民の祝日、そして12月29日から翌年1月3日までを挙げています。省庁も自治体も、規制業種のFinTechがやり取りする監督官庁も、同じ日に止まるのはこのためです。
民間企業はこの法律の対象ではありませんが、同じような期間を休みにする会社は多くあります。年内最後の営業日が「仕事納め」、年明け最初の日が「仕事始め」。日付は会社や業界によって違うので、確かめる相手は顧客本人しかいません。
2026年から2027年にかけては、12月28日が月曜日、1月4日も月曜日です。役所と同じ暦で動く会社なら、仕事納めは12月28日(月)、仕事始めは2027年1月4日(月)。その翌週の1月11日(月)は成人の日で祝日なので、年明け2週目も短い週になります。
休業日そのものは、止まる期間の一部にすぎません。休みの直前は年内の仕事を片づける時期で、明けてからの数日は取引先との年始の挨拶に使われることが少なくありません。この時期にも決めごとはありますが、新しい案件の判断はあまり出てきません。
12月中旬では、もう遅い理由
日本企業での購入は、たいてい稟議で決まります。起案した担当者から、関係する上長や部署を順に回り、その金額の決裁権を持つ人に届くまで判が押されていく書類です。流れの詳細は日本の調達プロセスを通すで解説しています。
12月に関して押さえておきたいのは一点だけです。稟議は、いちばん遅い承認者の速さでしか進みません。誰かが休みの前に年休を取ったり、年内に片づける別の案件で手一杯だったりすれば、書類は年明けまでその人の机で待つことになります。12月上旬に起案した稟議なら、そうした遅れを1つ2つ吸収できます。20日の起案では、まず間に合いません。
ですから、12月中旬の「上長に上げています」は受注のサインではありません。稟議が回り始めたという意味であって、年内に回りきるという意味ではないのです。担当者に聞くべきなのは「12月中に決まりますか」ではなく、「年内に決裁まで通すには、いつまでに起案すれば間に合いますか」。たいていの担当者は答えを知っています。
1月は「再開」ではなく「分岐」
日本の大企業には3月決算の会社が多くあります。東京証券取引所の集計では、2025年3月期に決算を発表した3月決算の上場会社は2,231社でした。こうした顧客にとって1月から3月は期末の四半期で、同じ時期に来期の予算づくりも進みます。
そのため、12月に止まった案件は1月に分かれ道へ戻ってきます。今期の残予算で払うなら、発注、場合によっては納品や請求まで3月31日より前に収める必要が出てきます。来期予算に回すなら、開始は4月以降です。前者は早い代わりに、残予算がすでに別の使い道に押さえられている可能性があります。後者は確実な代わりに、四半期ひとつ分遅れます。
どちらに進むのかは、休みに入る前に担当者に確かめておきましょう。来期予算に回るなら、課題はあなたのQ4は、日本のQ3に届いているで書いたとおりで、冬に作られる予算案に載せてもらう必要があります。価格改定を伴う更新も同じ理屈で、更新の予算は秋に決まっているで詳しく扱っています。
11月中に決めておくこと
年末年始に日本の商談を止めるものの多くは、本来もっと早く詰めておけた書類です。11月末までに、次のことを決めておきましょう。
- 見積の有効期限。2月まで有効にしておく。12月31日で切れる見積は再発行が必要になり、場合によっては稟議のやり直しにつながります。
- 各書類の日付。見積書、発注書、請求書にそれぞれどの日付を入れ、どの年度に計上するのかをすり合わせる。年度を取り違えた日付の請求書は、差し戻されることがあります。
- 契約開始日。決裁の流れに合う開始日を提示する。今期予算なら2月1日や3月1日、来期予算なら4月1日。1月1日開始をそのまま出さないこと。
- 請求書の記載事項。2023年10月1日に始まったインボイス制度に登録している場合、請求書には「T」と13桁の数字からなる登録番号の記載が必要です。登録していない場合は、先方の経理から必ず質問が来るので、早めに伝えておきます。
- 稟議に添付する日本語資料。提案書、価格の内訳、セキュリティやコンプライアンス関連の資料を日本語で。担当者が起案する前に仕上げておく。
- 誰が判を押し、誰が席にいるか。稟議の経路にいる承認者と、そのうち12月後半に不在の人がいないかを聞いておく。
休業のお知らせは、日本語で出す
海外ベンダーと日本の顧客では、休みの暦がうまく重なりません。クリスマス前後に休むベンダーは日本が働いているあいだに不在で、1月2日に仕事へ戻ったときには日本がまだ休み。お互いに「相手は連絡がつくはず」と思い込んでいます。
日本の会社は取引先に「年末年始休業のお知らせ」を出しますし、ベンダーから届かなければ気づきます。12月の早い時期に、日本語で次のことを伝えましょう。
- 休業期間(日本の日付の書き方で)
- 休業中のサポートの有無、窓口、対応する障害の範囲
- 通常の返信を再開する日と、休業中に届いた問い合わせの扱い
FinTechや決済の製品なら、挨拶文よりもサポート窓口のほうが大事です。年末年始も業務が動いている顧客は、12月31日に障害が起きたとき誰が対応するのかを知っておく必要があります。
年明け最初のメール
休み明け最初の連絡は「新年のご挨拶」であり、日本の読み手もそのつもりで受け取ります。先方の仕事始めの週に、昨年のお礼と今年もよろしくお願いしますという一言、それに提案の状況を一行添えた短いメールなら、自然に受け取ってもらえます。
うまくいかないのは、挨拶のはずのメールが仕事始めの朝から催促になってしまうケースです。本題の連絡は翌週に回し、稟議の状況、どちらの予算で進めるか、次の段取りと日付を伝えましょう。12月のうちに2通とも準備しておけば、1月に慌てて書く必要はなくなります。
逆算したQ4の段取り
3月決算の日本企業を相手にするなら、年末年始を前提にした段取りは次のようになります。
- 10月:顧客の会計年度、案件が今期予算に入っているか、稟議の経路を確認する。
- 11月:最終の提案と見積、書類の日付、契約開始日、稟議用の日本語資料を固める。
- 12月上旬:稟議を起案してもらう。日本語の年末年始休業のお知らせを出す。
- 12月中旬:年内に決裁が下りなかった場合にどちらの予算で進めるかを、担当者に確かめる。
- 1月第1週:短い新年のご挨拶。
- 1月第2〜3週:本題の連絡。次の段取りと日付を添えて。
- 2月〜3月:今期の残予算で契約するか、来期予算に入ったことを確認する。
12月中旬になってもまだ案件が開いたままなら、いまのうちに担当者へどちらの予算に入るのかを聞き、その答えに合う開始日を出し、見積の期限を延ばすのが筋です。止まった商談が、予定の立った商談に変わります。
よくある質問
日本の会社は年末年始に休むことが法律で決まっていますか
決まっていません。「行政機関の休日に関する法律」で12月29日から1月3日までを休日としているのは行政機関だけです。民間企業は自社の暦で動いており、同じような期間を休みにする会社が多いものの、日付は会社ごとに違います。思い込まずに、相手ごとに確かめてください。
12月中に契約までこぎつけることはできますか
できます。先方の最終営業日までに稟議が回りきる時期に起案されていれば、です。新しい稟議なら12月上旬が現実的な締め切りと考え、日付は推測せず担当者に確認するのが確実です。
年末の値引きを出せば早く決まりますか
時期はほとんど変わりません。席にいない承認者のところを、値引きで速く通すことはできません。休み中に期限が切れる条件は、かえって急かしているように受け取られることがあります。2月まで有効な見積書のほうが効きます。
新年の挨拶メールのあと、いつ本題の連絡をすればよいですか
挨拶は先方の仕事始めの週に短く送り、本題の連絡はその翌週に、次の段取りと日付を添えて送るのがおすすめです。
この記事は法務・税務の助言ですか。事実はどこから取っていますか
どちらでもありません。行政機関の休日は「行政機関の休日に関する法律」、3月決算の社数は東京証券取引所の2025年3月期決算発表状況の集計、インボイスの登録番号は国税庁の案内によります。民間企業の慣行として書いた部分は一般的な傾向であり、決まりではありません。